トランクルームは、利用者が単なるレンタル収納スペースとして活用する場合もありますが、企業が荷物を預ける場合もあります。利用者が荷物を預けた際に不利益を受けることを防ぐために国土交通省では「倉庫業法」を昭和31年に制定。基準を満たした倉庫業者のトランクルームがあることで安心して預けられるようになっています。
トランクルームを活用する際に知っておきたい「倉庫業法」を詳しく見ていきながら、注意点を挙げていきますので参考にして下さい。
倉庫業法とは
国土交通省が定めている「倉庫業法」とは何かですが、次のような内容が「倉庫業法」には記載されています。
「この法律は、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉荷証券の円滑な流通を確保することを目的とする。」
利用者の利益を守る目的のために、国土交通省が厳しいルールを作成したものとなっています。記載されている「倉荷証券」とは、倉庫業者が荷物を預かっていることを証明する有価証券のことを指します。「倉庫業」を営む人及びその利用者が共に知っておきたい法令です。
「倉庫業」とは
「倉庫業」とは何をまず考えていきますが、個人や企業などの他人の荷物を預かって報酬をもらい、荷物を倉庫に保管しておくサービスを行う事業です。
「倉庫業」では、スペースだけを貸して荷物を単に保管しておく最近増加しているトランクルーム業者もいれば、荷物のラベル貼りを行ったり、衣類の修繕も請け負ったりして荷物の流通や加工まで行う業者もいます。
どちらにしても「荷物の保管」が目的の業者が「倉庫業」です。クリーニング店の衣類保管庫などの場合にはクリーニング店が主な事業で、保管を行っていても付随サービスになりますので「倉庫業」には当たりません。
「倉庫業」は許可制で登録が必要
また「倉庫業」を行うには許可制となっていて、倉庫を国土交通省へ登録しておくことが必要です。トランクルームを含んだ倉庫業者に似たようなビジネスを始めた場合でも、登録しなければならないようになっています。
ただ、中には許可を得ていない貸倉庫業者もありますので注意しましょう。単なるスペースだけをレンタルして営業している業者もあり、荷物を安全に保管する保証までは負わない場合があります。
例え「安全な保管」をうたっていたとしても、登録していない業者では防災基準などが許可基準を満たしていない場合も増えています。貸倉庫を利用する場合には、預けていた荷物が破損する可能性もありますので、きちんと認定を受けた貸倉庫業者かどうかの確認をすることが大切です。
「営業倉庫」と「自家用倉庫」の違い
倉庫には、事業報酬を得る「営業倉庫」と「自家用倉庫」があり、国土交通省の認定・登録を受けているのが「営業倉庫」です。「営業倉庫」を利用する際に注意すべきこととして、知っておきたいことがありますのでご紹介します。
「営業倉庫」と自家用の荷物を保管している「自家用倉庫」との基準の違いは大きく3つあります。
施設や設備の丈夫さの違い
まず一つ目の違いは、施設や設備の違いです。「営業倉庫」は「自家用倉庫」よりも丈夫に設備が作られていて、火災や水漏れなどの災害やカビや害虫から荷物を守る施設や設備の完備が必要なことが倉庫業法にもしっかりと表記されています。
実際に貸倉庫で火災が起きる事故も起きていますが、「営業倉庫」では火災発生率が低い結果があり、違いが出ています。
火災保険への加入義務の違いと注意点
また国土交通省の「標準倉庫寄託約款」によって「営業倉庫」として運営するには、倉庫所有者が火災保険に入ることも必要です。国土交通省への登録がない業者は、火災保険に未加入の可能性もあり注意しましょう。倉庫業者を選ぶ際には、事前に火災保険の加入を確認するといいでしょう。
営業倉庫では「倉庫寄託約款」の届けが必要
倉庫業として「営業倉庫」を営む際には、国土交通省に「倉庫寄託約款」の届けを行う点も違いと言えます。例えサービス利用者と倉庫寄託の契約を結んでいない場合でも、国土交通省に「倉庫寄託約款」の届け出をします。
届け出がなされている場合は、火災や水漏れ、窃盗などが起きた場合に、この「倉庫寄託約款」を元に処理されるため安心です。届け出がない場合は、補償の問題などで利用者が守られなくなりますので注意しましょう。
「倉庫寄託約款」の詳細については下記からチェックでき、「トランクルーム標準約款」もありますので、詳しく見てみるといいでしょう。
まとめ
倉庫業法とトランクルームについて詳しく解説しました。「営業倉庫」と「自家用倉庫」には違いがあり、施設や設備面で異なってきます。また、火災保険の加入義務なども違い、「倉庫寄託約款」の届け出も行われて点でも違います。
国土交通省の倉庫業法に則って登録している業者を利用することで、利用する個人や企業がトラブルから守られて安心です。価格や立地条件だけで選ぶのではなく、基準を満たしていることも大切なことと言えます。